カテゴリー 12024年採択

熊本市立千原台高等学校

対象者数 440名 | 助成額 200万円

https://www.kumamoto-kmm.ed.jp/sch/h/chiharadai/

Programフロンティアプロジェクト
~ソーシャルビジネスコンテストを活用した
未来のトップランナーの育成~

 VUCA時代にあって、スペシャリティ(得意)を持った人材育成が求められるが、これまでの学校教育において自分の頭で考えて行動するような経験そのものが圧倒的に足りていなかった。特に、自ら動くことで良い変化や結果を生むような成功体験の少なさが自分の可能性を信じられず挑戦することを躊躇う背景にあると考え、これを打破するような教育プログラムが必要と考えた。

 本校の探究活動は実践重視で、外部を巻き込むことを推奨しており、教室の中で完結しないのが特徴である。しかし、リスクを嫌う若者に挑戦心を育むのは簡単ではない。そこで校内ソーシャルビジネスプランコンテストを創設。コンテストの優秀者には活動資金や人的資源のサポートを行い実社会で自らのプロジェクトを走らせ、そこで得た収益を次の新しいプロジェクトの資金とするサイクルを作りあげる教育プログラムを本年度より始動する。コンテストと連動して起業体験学習へ移行するのが特徴である。プロジェクトの成功の有無より、プロジェクトをきっかけにビジネスや地域の魅力に気づき、ビジネスを通して地域社会へ貢献し、その社会の中で自分らしい生き方・あり方を自ら獲得することが本プログラムの最終目標である。

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ビジネスコンテストを通じて生徒の積極性を磨いていく

 千原台高等学校では、「『一生懸命はカッコイイ』を実践する学校づくり 〜『チャレンジ チェンジ チャンス』で成長の好循環を〜」を教育目標に掲げ、社会を切り開いていくための人間力、社会人基礎力の育成を目指している。2023年度には探究活動により力を入れるべく、従来の普通科、情報科という学科構成を「健康スポーツ探究科」「情報ビジネス探究科」に改めた。

 24年度からスタートしたコンテストも同じ文脈にある。「生徒が学外のコンテストなどに自主的に参加することが少なかったので、校内コンテストの参加を通じて積極性を上げていきたい」と運営担当の中村祐紀先生は語る。同校の前身が商業高校であったことから、ビジネスをテーマとした。優秀な企画には活動資金や人的資源のサポートを行い、社会実装で得た収益を次のプロジェクトの資金に回す設計にしている。

 本年度1年生より探究学習の導入としてビジネスプランづくりに取り組んだ。中村先生が「課題発見」「ターゲット設定」「差別化」など、六つのステップでビジネスプランを作成する教材を作成し、生徒はゼロからビジネスプランを練り上げることができたという。7月には外部人材を招へいし、審査会も実施した。

 コンテストは全学年を応募対象としたが、審査会で評価の高かった1年生と2年生の有志が応募し、10月末に最終審査を開催。全10チームから勝ち残った5チームがプレゼンを行い、地元の大学やマーケティング企業などの有識者が「ビジネスプランとして魅力的か」というプロ目線で審査した。最優秀賞に輝いたのは、万能ラインカー(運動場に白線ラインを引く道具)の開発プランと、高校生に特化したSNSマーケティングのプランの二つ。中村先生は「ラインカーの提案は、健康スポーツ探究科のサッカー部の生徒がラインを引くときに不便を感じていたという経験が出発点になっています。身近な課題を見つけ、ビジネスプランにまで作り上げたことに感動しました」と振り返る。二つのプランは実現に向けて動き出しているという。

 収益化実現という将来を見据える南弘一校長は「成功者のロールモデルを作るという意味でも海外への展開も視野に入れています。コンテストを勝ち抜いた生徒が、姉妹校がある台湾でプレゼンする機会を作りたい」と志を立てる。熊本から世界へという夢に向けて、25年度以降のプログラムづくりがいま、校内では進められている。

10月末に行われた最終審査「フロンティアコンテスト」の様子。「高校生によるSNSマーケティング」のビジネス案を発表した。

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