カテゴリー 22024年採択

NPO法人Leapfor

対象者数 200名 | 助成額 1,000万円

https://leapfor.org/

Program越境型部活動”体感”&”創設”支援プログラム

 全国の高校生向けに、これまで学校・地域内では出会えなかった「同じ興味関心や問題意識を持った同世代の仲間」「その専門性を持った大学生・社会人」との出会いと学び合いの場を提供することを通じて、ニッチで多様なテーマ・分野での協働的な学びを促進することを目的としている。

 具体的には、下記2つのプログラムを放課後・課外の時間を用いて、学習者主体で学び合う活動を行う。

 

①越境型部活動”体験”プログラム

・1~3ヶ月間、学校や地域を超えた仲間と共に、専門的な知識・経験を持った先輩のもとでニッチなテーマにおける探究・学び合いを行う。

・多様なテーマでの部活動から学習者が自ら選択をし、仮入部・本入部をすることができる。

 

②越境型部活動”創設”プログラム

・生徒主体で、越境型部活動を創設し、継続するための「多様な人と協働する力」「コミュニティ・チーム運営ノウハウ」を学び、実践する。

・オンラインでいつでも集まれる「メタバース部室棟」、様々な専門家ヘアポが取れる「コミュニケーションシステム」、不安や悩み・トラブルの相談先となる「外部機関の紹介」等を用意。

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活動レポートReport

学校や地域の枠を飛び出したオンライン上での部活動

  NPO法人Leapforは、文部科学省が展開する留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN(以下、トビタテ)」の卒業生コミュニティを中心とした留学経験者のネットワークを活用して、 高校生などが成長し続ける場づくりや機会創出を目的として2023年に設立された。「Leapforのネットワークには、国内だけでなく、世界30カ国に2,000人以上の大学生・社会人がいます。そのネットワークを活用し、高校生が学校や地域の枠を飛び出して、オンライン上で知り合った仲間とニッチな“好き”を探究できるプラットフォーム『越境型部活動』をスタートさせました。専門分野の知識・経験を持つ “センパイ顧問”に協力してもらい、オンライン上の部活動を通して高校生が学校や地域では出会えなかった仲間や先輩と交流する機会を提供しています」と語るのはLeap forの荒畦(あらうね)悟理事。

越境部活動オンラインの様子

  タテの関係の“先生”ではなく、一歩先を行く“先輩”というナナメの関係と、同じ興味関心を語れる同世代のヨコの関係を結びつけた点が特徴だ。しかし、Leap forには“センパイ顧問”を提供するリソースは充実しているものの、部活動に参加する高校生との接点が不足していた。そこでタッグを組んだのが、さまざまな校外プログラムやオンライン・メタバース空間の提供で高校生との接点を多く持つ一般社団法人ウィルドアだった。「大人数が集まるような広いテーマではなく、もっと高校生のニッチな興味関心を刺激することができないかという思いは以前からありました。親交のあったウィルドアさんとそんなお話をした際に、私たちが顧問の開拓・提供とマネジメントを担当、ウィルドアさんが高校生の募集と部活の運営をすることで、お互いの強みを生かした事業ができるのではないかと話が進みました」(荒畦理事)。

  週に1回、オンラインのメタバース上に設置された部室に5~10人の高校生とセンパイ顧問が集まり、3カ月間部活動を行う。第1期は2024年10月に、「まちデザイン部」「ドローン部」「パルクール研究部」の3部活動でスタートした。部によって内容はさまざまだが、共通するのは顧問から部員への単なるスキル伝達には終わらないこと。例えば「ドローン部」の場合、シミュレーターやアプリを使った活動が中心になるが、国内外の大会に出場するようなプロのドローンレーサーを目指す、国家資格取得を目指すなど、部員ごとの興味・目標レベルに合わせた指導やアドバイスが行われた。また「まちデザイン部」は、部員それぞれがフィールドワークなどを行い、地域の課題や魅力を発見してプロジェクトを企画・実現するというもの。特産品を使った商品開発や地域イベントの企画など、各部員がやりたいプロジェクトを持ち寄り、現役の地域起業家であるセンパイ顧問が自身の経験や活動を基に、必要なアドバイスやリソースを提供。部員同士も仲間のアイデアに対する意見や感想を言い合うなど、受け身では成立しない関係性は、まさに「部活動」と呼ばれる所以だ。

  活動終了時には「越境祭」と名づけたオンライン上の発表会を開催し、全参加者がその成果を共有。実施後のアンケートでは参加者満足度100%、友人へのお勧め度100%という高い評価を得た。参加者からは「意見交換や、センパイ顧問の話が大きな刺激になった」「町外や遠く県外の人から今まで聞いたことがないような話を伺うことができ、まさに越境体験ができたと感じた」などという声が聞かれた。

メタバース上で行われた第1期「越境祭」(発表会)の様子

6部活動+1dayプログラムという充実のラインアップに

  好評を得た第1期の部活動だったが、その一方で3カ月という活動期間に二の足を踏み、参加をためらう高校生も一定数いたという。「もっとハードルを下げて、高校生もセンパイ顧問も、ちょっとお試しという場も作りたい」という思いから、1日限りの部活動を集めた「1day部活フェスタ」というイベントを企画。2025年3月20日~23日にオンライン/オフラインのハイブリッドで開催した。用意されたのは、即興演劇を学ぶ「どこでもインプロ部」「高専交流部」「新しいエネルギー考え隊!水素部」などバラエティに富んだ17の部活動。「好き」にまで届かない「好きかも」程度の活動を集めたことで、気軽に参加してくれる高校生も多かったようだ。またオフラインで直接触れ合う活動も好評だったことから、リアル開催の重要性も感じられたという。

1日限りの部活が多数揃った「1day部活フェスタ」

  そもそも「オンラインだけで部活動は成立するか」という命題を掲げてスタートした越境型部活動だったが、2025年6月からの第2期では、東京での1泊2日のオリエンテーション合宿から活動をスタートするという形に軌道修正した。オンラインだからこそ遠方の仲間と交流できるというメリットはあるが、これまでの人材育成プログラムの運営の経験則からもキックオフでのオフライン交流の機会がその後の仲間意識の醸成や交流の深さに影響することはわかっており、一度は部員同士とセンパイ顧問が直接対面する場を設けたいと考えたからだ。そこで合宿1日目は、あえて違う部活動の部員同士でグループ分けし、2日目はセンパイ顧問も加えた部活動単位の活動とした。活動のスタートを対面で開催することで、チームビルディングは飛躍的に向上し、違う部活動の仲間と活動を共にすることで、より幅広い交流も生まれた。

  しかし、関東近県ならばともかく、遠距離から参加する部員にとっては、交通費だけでもかなりの負担になることは否めない。そこで考え出されたのが、地理的・経済的に合宿参加が難しい部員に対する「合宿参加、あきらめないで制度」。事務局が状況を審査し、申請が通れば必要な交通費・宿泊費が支援される制度で、実際に2期・3期とも10名弱の利用があった。

合宿開催地までの交通費や宿泊費を補助する「合宿参加、あきらめないで制度」

  第2期の部活動は、第1期から継続の「まちデザイン部」をはじめ、1dayの水素部の活動を基に生まれた「エネルギー部」、「スポーツ科学部」「越境探究部」の4つ。その中の「エネルギー部」が、静岡県主催の助成制度 「若者チャレンジファンド」 に自主的に応募して見事採択。「水素インフラを活用した人工島」というアイデアで、獲得した助成金を活用して、実際の“水素キャンプ”を実施するなど外部での活動実績も生まれている。

エネルギー部が静岡県主催の助成制度 「若者チャレンジファンド」に採択

  第3期の始動は2025年10月。「まちデザイン部」「エネルギー部」「スポーツ科学部」の継続部活動に加え「生成AI部」「せかい留学部」「スピーチ部」という6つのラインアップが揃った。部活動の増加に伴い参加者数も増え、第2期の2倍の45人に達した。また、1dayプログラムに関しては、3か月プログラムと別日程での開催ではなく、3カ月の部活動と並行して一つずつ開催することで、他の部活動に参加中の部員がスポット参加するケースも目立ったという。

 「1dayは視野を広げる機会、3カ月プログラムは深く探究する機会の創出というように棲み分けていますが、1dayでの評判次第では、『エネルギー部』のように3カ月プログラムに移行というケースもありえると思っています」(荒畦理事)。

リアル開催された第2期のオリエンテーション合宿

自治体との連携や学校・企業と連携したモデルの創出を目指す

  期を重ねるごとにプログラムのブラッシュアップは進み、部活動数も部員数も増えてきている。毎週行われる活動も、センパイ顧問の講義と部員同士による“自主練”を隔週で行うことで、センパイ顧問の負担減と部員の主体性を高めるスタイルにシフトさせてきた。

  ただ、もっと集客を図るには、ネットや口コミだけでは限界があり、自治体や団体、学校などとの連携が必要と荒畦理事は語る。第3期からは、国内の高校留学制度「地域みらい留学」を実施する一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォームを共催に加えて参加者を募ったり、1dayプログラムでは京都府警察に協力いただいた「サイバーセキュリティの世界」を実施するなど、新たな協業先も増やしている。別事業で協働する島根県や長野県、Leap forの支部がある佐賀県、また本プログラムを生徒に積極的に紹介してくれている静岡県の県立高校など、活動の拠点は広まりつつあり、卒業後にも活動を支えてくれる学生コーチ・スタッフも増えてきたという。

 「最初のオリエンテーション合宿だけでなく、こうした拠点にサテライト部活を設けてオフラインの活動を増やしたり、部活動ごとのイベントを立ち上げたりという新たな試みにもチャレンジしていきたい」と荒畦理事は、第4期以降の抱負を語る。また、用意された部活動だけでなく、高校生自身がチームを作って自走するという活動のサポートも進んでいる。

  こうした活動を通じてアップグレードされたノウハウを、連携する地域や学校で予算化することが、自走に向けた次なる目標となっている。また、企業版ふるさと納税などを活用した寄付の受付と、センパイ顧問や参加経験者が継続的な寄付者となるようなスキームの構築も考えている。

 「個々が好きな探究活動を進めることもさることながら、それぞれの部室が自身の大切なサードプレイスという感覚も生まれているようですし、部活動を通じて事務局との交流も深まれば、自分が活動を広めていこうという“部長”的な気持ちも湧いてきて継続参加する高校生も多くなっています。そうした子たちが、自分たちがこのプログラムを一緒に作っていくというスタンスで臨んでくれることで、本プログラムの継続力も育まれていると感じています」と荒畦理事。このプログラムがもっと周知され、センパイ顧問や周囲の協力の輪が広がることにより、このプログラムから生まれたセンパイたちによって新たなジャンル、新たなスタイルの部活動が生まれていってほしいと語ってくれた。

第3期は6部活動のラインアップが揃った

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