カテゴリー 12021年採択

岩手県立盛岡第一高等学校

対象者数 840名 | 助成額 200万円

http://www2.iwate-ed.jp/mo1-h/  

Program「M探」Plus Science and English

 本校は平成27年度〜令和元年度に文部科学省スーパーグローバルハイスクール事業(SGH)の指定を受け、指定終了後(令和2年度)において、それまでのSGH事業の教育実践を生かして、企業や大学、地域、認定NPO法人カタリバと連携をしながら地域や世界の課題解決に取り組む教育活動で成果を上げてきた。

 本プログラムは、これまで実践してきた地域との協働による課題解決型教育を基礎に据え、科学的に探究をしていく姿勢、世界の中で自己の課題意識を持ち、それを世界に向けて発信しながら対話的に解決を目指そうとする姿勢を養うことを目的とする。

 総合的な探究の時間(「M探」)においては、他の高等学校と連携・協働して科学研究に取り組みながら協働的に知を形作っていく探究活動や、海外在住者と外国語で対話的にディスカッションしながら地域や世界の課題に対する自らの問題意識やその解決法の模索をしていくことなどがその中心的な取り組みである。 

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世の中を変える体験で 自分事の生きた学びに

 2020年に創立140周年を迎えた伝統校で、15~19年度はスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定を受けて教育実践を行ってきた。総合的な探究の時間「M探」(各学年1単位)はSGHのレガシー(遺産)を生かし、企業や大学、地域、NPOと連携しながら「地球規模の視野で物を考えつつ、地域視点で行動するグローカル(Glocal)人材の育成」を目指している。

 理数科を含めた1年生全員で取り組む「探究Ⅰ」は、いわてNPOネットサポートやNPO法人カタリバによるワークショップを重ねながら、盛岡市と連携した「地方創生プログラム」を実施。普通科2年生の「探究Ⅱ」では「岩手から世界を変える方法の探究とその実践」をテーマに、生徒の興味に即して、まちづくりや環境、教育、福祉、ものづくり、地域振興など、岩手が抱える諸課題について課題設定を行い、グローバルな視点で探究活動を行う(理数科は課題研究)。「探究Ⅲ」は再び3年生全員で英文による論文作成と成果発表に取り組み、国内や海外に研究成果を発信。こうした活動を通して、▽課題設定能力▽課題探究能力▽論理的思考力▽プレゼンテーション能力▽実践力――を育成しようとしている。

 “Plus Science and English”には、①科学的探究活動の先進的実践校との交流を進化させ、未来社会の諸課題の解決について科学的視点から議論する「M探」Plus Science②地域や世界の課題に対する問題意識や解決策について、オンラインで海外在住者とディスカッションする「M探」Plus English③特色ある取組や公益性のある取組をしている生徒たちに校内の教育活動を企画・立案させ、専門家や実践家を招いて共同で課題解決の知見を発信する場を設ける「M探」Plus My teacher――の意味が込められている。
 「調べ学習では終わらせません。地域と関わって世の中を変える体験をしないと、自分事になりません」と佐藤幸久指導教諭が強調すると、「生みの苦しみを味わう生徒も多いですね」と梨子田喬教諭も応じる。そんな期待に応えて、学用品リサイクル団体「#エコスクールもりおか」を立ち上げた生徒や、遠野市に提案して現地で「遠野方言川柳コンテスト」を実現した生徒も。英語中心の考え方に対する批判として「アジフライ語」で発表した生徒もいたが、アカデミックなものに結び付けるという条件に合っているので認めたというのも、県トップの進学校ならではだ。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

学用品のリサイクルを行う高山七虹(ななこ)さん(現3年生)。臓器移植の仕組みを応用したといい、「全国高校生マイプロジェクトアワード2020全国サミット」でサポーター特別賞を受賞した

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