カテゴリー 12021年採択

長野県松本県ケ丘高等学校

対象者数 970名 | 助成額 199.4万円

http://www.nagano-c.ed.jp/agata/

Program信州学からグローバル課題へ・探究を実践し続ける縣陵人を育てる
Kenryo Researchers Program

 創立百周年を迎える本校の伝統である「縣陵三大精神(質実剛健であれ・大道を闊歩せよ・弱音を吐くな)」を、“探究を実践し続ける人”であるために必要な「確かな知・関わる力・挑戦する力」を育む生徒育成方針と読み換え、3年間を見通した探究プログラムを実施する。 

「探究的な学び」を軸に、全職員で生徒の課題探究活動を支援する他、探究科では学校設定科目「探究」において、地元自治体・企業・大学等との連携、海外研修等により学びを深める。

 また文部科学省「WWLコンソーシアム構築支援事業」カリキュラム開発共同実施校として、イノベーティブなグローバル人材を育成する教科横断型の探究活動を実践する。 

 令和4年度から「進学型単位制教育課程」へ移行予定であり、普通科・探究科とも1年次に「総合的な探究の時間」を週2コマ設定。2年次までに各自が追求した探究課題を、さらに自身の進路につなげ、3年次では多様な進路希望を実現することを目指す。

 変化の激しい時代にあって、国際社会および地域社会のリーダーとして、広い視野を持って社会に貢献できる力と、変化に柔軟な課題解決能力を育成し、生涯にわたって“探究を実践し続ける人”を送り出す。

※Kenryo=縣陵:県ヶ丘高校の愛称 

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「探究科」ゼロから立ち上げ 普通科や県全体に波及へ

 JR松本駅から東に2キロ、気付かないほどごく緩やかな上り坂の先に「あがたの森公園」があり、旧制松本高校の校舎(国重要文化財)が旧制高等学校祈念館として保存されている。その裏手にあるのが、旧制松本第二中学校(1923年創立)を前身とする松本県ヶ丘(あがたがおか)高校だ。「縣陵(けんりょう)」が、学校の愛称となっている。質実剛健であれ・大道を闊歩せよ・弱音を吐くな――を「縣陵三大精神」とし、2023年度に創立100周年を迎える。
 そんな三大精神を、スクール・ポリシーの生徒育成方針で「探究を実践し続ける人」であるために必要な「確かな知・関わる力・挑戦する力」と読み替え、3年間を見通した探究活動プログラムを実施している。

 きっかけは、18年度に新設した探究科(2クラス、2年次から「自然探究科」「国際探究科」)だ。
 大学入試制度改革に対応した難関大学・海外大学への進学を目指す学科だが、当初から地域をけん引する人材育成や教育現場の停滞感を払拭(ふっしょく)することを期待して、普通科(6クラス)はもとより中信地区、長野県全体へと影響を広げることを目指していた。「ディベート・ディスカッション」「エッセイライティング」などの専門科目も設置する。
 21年度から文部科学省のWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の共同実施校に指定されたものの、それまでに文科省の指定事業等に選定された経験はなく、ゼロから「手弁当」でカリキュラムを作り上げたという。
 探究の授業は、普通科が「総合的な探究の時間」として1年次2単位、2年次1単位の計3単位を、探究科はこれに「探究基礎」「探究実践」「理数探究」「探究発展」を加えて3年間で計7単位を実施する。

 まず1年次は、前期の4~7月に探究学習のスキル学習で「型」を身に付け、7~9月に4人組で松本地区の環境・観光・教育・健康を探究分野としてフィールドワークなどの「プレ探究」を実施している。後期はグループで「信州学課題探究」に取り組む。
 2年次は、個人課題探究に充てる。信州大学の学生をメンター(助言者)とする他、他校生も参加する「KENRYO Reseachers Grand-Prix」(1月末)で地元企業・大学教授や上級生からアドバイスを受ける機会も用意している。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

2020年度はコロナ禍で、探究科海外研修の代替として金沢フィールドワークを実施した。石川県庁や近江町市場など、すべて生徒がアポを取って訪問。「ゲストハウスpongyi」では、SDGsツーリズムやSNSを活用した英語による広報活動について取材した。

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