カテゴリー 12021年採択

三重県立神戸高等学校

対象者数 600名 | 助成額 198万円

https://kambe.ed.jp/

Program地域の未来を考え提案する探究活動「鈴鹿学」

 総合的な探究の時間「鈴鹿学」は、普通科1年生と普通科2年生が取り組んでいる。鈴鹿の町をより良くするために高校生の視点で課題を見つけ、解決策の提案を目指す。 

 1年次は探究活動の基礎を学ぶ「プレすず」で、鈴鹿の町についての理解を深めるとともに、実際にテーマを設定して探究活動の過程を疑似的に体験する。1年次12月からは「鈴鹿学」として校外調査等も含めた探究活動を協働で行う。探究テーマは5分野から選択し、より具体的な探究課題を設定して市政への提案も視野に入れる。

1.目標

・鈴鹿について理解し、鈴鹿市をより良くするための課題を自ら発見する。 

・課題解決に向けてグループで議論し、整理・分析していく中で課題解決能力を育てる。 

・グループでの探究活動をまとめ、工夫して発表することで、プレゼンテーション能力を育てる。 

2.探究テーマ 
次の五つのテーマを基に、具体的な課題を設定する。 

・防災・土木・環境・交通・住宅 

・福祉・教育 

・文化・スポーツ 

・産業(農林水産・鉱工業・商業・観光) 

・財政・税・市政

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活動レポートReport

市役所のバックアップを得て 「まちの課題」に取り組む

   鈴鹿サーキットで全国的にも知られる鈴鹿市。神戸(かんべ)高校は1920(大正9)年、神戸城二の丸跡に創設された県内5番目の旧制中学校を前身とし、「不断の進化を続ける進学伝統校」を目指している。
 大学入試改革と新学習指導要領、Society5.0の到来に向けて「主体的・対話的で深い学び」を促すため、2019年度から総合的な探究の時間として実施しているのが「鈴鹿学」だ。
 目標を「鈴鹿のまちをよりよくするためにできることは」とし、20年後の地域を担えるリーダーの育成を目指している。全面的なバックアップを受けている鈴鹿市役所には、末松則子市長はじめ卒業生も多い。

 まず、1年次の4~11月に行う探究基礎「プレすず」では、鈴鹿のまちが抱える課題を調べることを通して、探究活動の過程を疑似体験する。その上で12月から2年次にかけて、①防災・土木・環境・交通・住宅②福祉・教育③文化・スポーツ④産業(農林水産・鉱工業・商業・観光)⑤財政・税・市政――の5分野から設定した課題を基に、班で「鈴鹿学」に取り組む。

 成果発表会には、市長や市職員も参加。24年度から始まる新しい総合計画など市政への反映を目指しており、近年は市側から課題が提案されることもある。窓口を務める政策経営部総合政策課の川北彩夏さんも卒業生で、「行政に対する若い方々の興味が薄れる中、アイデアを聞けるだけでも参考になります」と話す。街灯のない伊勢鉄道鈴鹿駅前や、神戸公園(城跡)でイルミネーションプロジェクトも実現させた。

 また、信号機のない歩道で「手上げ横断」の効果を検証した班の研究成果がポスター展示として鈴鹿署に掲示され、共同通信社が全国の地方紙に記事を配信したところ、3年生になったメンバーが北海道放送の情報番組にリモートで出演する(21年11月)といった思わぬ反響もあった。
 校長をトップとし、教務部を中心にクラス担任や進路指導主事などを構成員とする「探究活動運営委員会」により、全教員が携わる校内体制を整えた。放送部顧問で県高等学校文化連盟事務局長も務める教務部の杉江憲典教諭自身、放送部の活動を契機に20年7月、官学地域連携の「2023加佐登(かさど)まちづくり活性化プロジェクト」締結にこぎつけた。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

「鈴鹿学」の一環として年1回、鈴鹿市役所に出掛けて行うヒアリング。担当部署の説明を食い入るように聞き、まるで業者の打ち合わせのように具体的な質問を次々と投げ掛けていく。

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