カテゴリー 12021年採択

京都市立西京高等学校

対象者数 560名 | 助成額 200万円

http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/saikyo/

Program京都発!未来の教室がある学校をめざして 
―グローバルリーダーシップの育成をめざしフィールドワークを軸とした探究プログラムの構築―

 本プログラムでは、生徒が主体的に「おもしろおかしく」学ぶ環境が整い、探究活動を通して社会貢献できる資質能力を獲得できる場所「未来の教室」を創造する(「おもしろおかしく」は本校のモットーであり、物事に取り組む際、どうすればより興味を持ち面白く取り組めるかを追求しようとする創意工夫の姿勢を表している)。 教室を離れて国内各所に飛び出し、学外機関との連携を深め、多様な価値観に触れることによってその目的が達成できる教育プログラムを開発する。 

 より具体的には、北海道・東北・中部・中国・四国・九州・沖縄方面の7コースを組織し、生徒で構成される「FW委員会」が中心となり、自分たちが「何がしたいのか」「何を知りたいのか」を明確にした上でコースの活動内容を自分たちが作成するというものである。訪問や事前・事後学習を通じてFWを通して日本が抱える課題を深く学び、それらに対して自分たちができること、しなければならないことを「発信する」という視点から問いを設定した上で、学術的アプローチによって自分なりの解を導くというプロセスを経験する。このような経験を、将来自分は何をすべきなのか、そして何ができるのかを考えるきっかけとし、社会貢献のためなら身を投げ出すことをいとわない精神(ノブレスオブリージュ)を涵養することを意図している。

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「おもしろおかしく」をモットーに 問題意識を持って主体的に取り組む

  2003年に商業科の募集を停止し、校名から「商業」を外して、京都市立西京高等学校(第二次)に改称。同時に社会に貢献し活躍できるグローバルリーダーの育成を目的として、「未来社会創造学科エンタープライジング科」が創設された。さらに翌04年には中学校を併設し、中高一貫教育の中でエンタープライズシップ(進取・敢為・独創の心)を醸成する体制が整えられた。岩佐峰之校長は、「わが校のモットーは『おもしろおかしく』。どうすればより興味を持って、面白く取り組めるかを追求する姿勢が、学科名にも込められています」と語る。

 「エンタープライズ(EP1・2)」の授業は、1・2年次に行われる「総合的な探究の時間」。1年次のEP1は、2年次から本格的に始まる課題研究の準備期間として捉えられ、その最終段階として3月に、アジア諸国7コースの海外フィールドワーク(FW)が行われる。
 「どこに行きたいかではなく、何を知りたいかということをスタートにしています」と地蔵繁範先生が語る通り、用意されたものに取り組むのではなく、各人がFWでしたいこと、知りたいことを調べ上げて提出したレポートによって全員の参加コースを決定。それぞれのスケジュールは自薦によるFW委員を中心として生徒自らが原案を考え、担当教員とのやり取りを通して固めていく。委員には、1年生約280人のうち、毎年60~70人もの生徒が立候補するという。活動をサポートするのは教育推進部に所属する教員だが、主体はあくまでも生徒。自分たちで時間をかけて準備するからこそ、「おもしろおかしく」参加できる。

 そのFWが、コロナ禍により一昨年は中止、昨年分は今年10月まで延期され、行き先も国内になった。数々の制約の中、さまざまな人への取材を通して国内の諸問題を知ることでも、グローバルな視点を磨くことはできるとして、ディベートやプレゼンテーションを繰り返し、北海道、東北、愛知、隠岐・広島、瀬戸内、九州、沖縄の7コースが設定された。何十もの企業を訪問するコース、歴史を訪ねて異文化を体験するコースなど、内容は多岐にわたった。
 昨年11月27日には国内FWの研究発表会を開催。発表会の様子はWeb中継され、訪れた先で交流した高校の生徒たちもオンラインで参加した。これらも参考に、3月に行われる予定の1年次のFWの準備も、現在着々と進行している。

東北コースの生徒が訪れた「東日本大震災遺構伝承館」。被災当時の学校をそのまま保存してある

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