カテゴリー 12021年採択

兵庫県立長田高等学校

対象者数 960名 | 助成額 200万円

https://www.hyogo-c.ed.jp/~nagata-hs/

Program「一芸一才」を活かして「安全な未来都市づくり」を担う
「アーバンクリエイター」 育成方策の開発

 「自分の得意分野を自覚して才能を伸ばし、社会で役立てる術を身につける力」「データサイエンスを通して都市の課題を正しく分析し、科学的根拠に基づいて解決する力」「防災の高度な科学的知識」

 この三つを総合した課題研究を通して、将来「データサイエンス」や「デザイン思考」を身に付けた、安全な未来都市づくりを担うアーバンクリエイターを育成する方策の開発を行う。 

1.一芸一才の伸長プログラム 

「神戸大学起業家精神育成ゼミナール」と連携し、前例や慣習にとらわれずに主体的に動く姿勢と行動力を身に付ける。 

2.都市づくりスキル育成プログラム 

「神戸市企画調整局つなぐラボ」と連携し、「今、スマートシティーを目指す神戸」でどのような「都市づくり提案」がなされ、どのような「実証実験」が行われているのかを学ぶ。 

3.防災科学力の高度化 

「京都大学防災研究所」と連携し、現在どのような「災害に対する科学的アプローチ」がなされているのかを学ぶ。

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“とんがった”生徒を増やす

  冬休みも迫った12月中旬、長田高等学校では2年生の生徒約280人が「総合的な探究の時間」の中間発表を約2時間にわたって行った。各グループの持ち時間は5分。熱が入りすぎて5分以内に収められないグループも多く、質疑応答の時間も生徒から鋭い質問が飛んだ。探究活動を主導している大前吉史先生は、「あまり進捗がなかったのに、この数カ月間に追い上げて中身の濃い発表をしていたグループもあり、生徒のポテンシャルに改めて驚きました」と話す。

  今年で創立102年目を迎える長田高等学校は県内屈指の進学校であり、2013年には探究活動に特化した「人文・数理探究類型(以下、類型)」クラスを設けている。今年度からは、このノウハウを生かした「総合的な探究の時間」を、類型以外の生徒に週1単位で実施している。「類型の中には個性豊かな、いわゆる“とんがった”生徒が出てきています。類型以外の生徒にも同じような刺激を与えて、学校全体としてさらなる高みを目指したい」と、鎌野正人教頭は横展開の狙いを話す。

 探究のテーマは、公衆衛生・脱炭素社会・スマートシティ・エシカルな消費・生物多様性・バイオサイエンス・食と健康・共生社会・数学の九つ。生徒たちはクラスの枠を超え、関心のあるテーマで3~4人のグループとなって、研究計画書を作ってリサーチを進めている。

 初年度実施してみた課題の一つが、「外部との関わり」だ。「フィールドワークをした生徒はスイッチが入り、どんどんのめりこんでいく。その外部との関りをどうコーディネートしていくかが課題」(大前先生)。中間発表時に、大阪大学の院生・学生にアドバイザーとして入ってもらったのも、外部との接点を増やす狙いがあった。
 もう一つが、「探究時間の確保」だ。部活動で忙しい生徒も多く、また部活で一人でも欠けていると動かないというグループもあり、全体の進捗が遅れ気味になっていた。まずは自分が動いて後でメンバーに情報共有するようアドバイスしたところ、徐々に一人でリサーチやオンラインセミナーに参加する生徒が出てきたという。また長年実績を出している進学校だけに受験に対する意識は保護者・生徒共に高い。「探究活動が他の学習にも役立っていることを『見える化』していけば、理解も得やすくなります。来年度は大学などの専門機関と共に非認知能力の測定に取り組んでいきたい」と鎌野教頭は話す。

12月に行われた中間発表。生徒には各発表に対する疑問点・アドバイスを書き込むコメントシートが配られたこともあり、集中して発表を聞いている。

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