カテゴリー 12021年採択

鳥取県立鳥取西高等学校

対象者数 562名 | 助成額 200万円

https://www.torikyo.ed.jp/toriw-h/

Program鳥取県、ラオスにおける水問題をテーマとする文理融合型探究学習

 主に「課題研究Ⅰ・Ⅱ」「課題研究AP」において、鳥取県とラオスの水問題をテーマとする課題研究を主体的・協働的に進める。鳥取県においては、人形峠のウラン坑水浄化、三朝町排水のラドン等検出調査、智頭町の学校演習林、岩美町荒金鉱山の坑廃水浄化施設等を調査しながら、水と人間との関わりの歴史的経過や未来志向の問題解決について模索する。ラオスにおいては、都市と農村における多様な浄水や安全な水へのアクセス等について学び、活動の成果を各種学会等で発表するとともに、学校周辺地域での普及啓発を狙う。 

 地元や海外の現地調査を含む課題研究を行い、繰り返し新たな発見に巡り合うことによって、主体性を持って地域の課題解決に向かう姿へ成長することを期待するプログラムである。地域や世界に見られる諸課題と高校生自身とのつながりは、問題解決のアプローチとなり得ていない。現地調査を通して、地元の住民や専門家などに出会ったり、直接問題を発見する驚きや感動を味わったりするなど、直接体験的な学びは重要な学びの要素である。本プログラムを通して、現地調査の役割を身に付け、他者にその価値を伝えることが大切である。

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生徒の主体性を促す 課外プログラムを設置

 新学期を迎えて間もない4月20日、鳥取西高校は学校外の関係者も招いて、研究課題の発表を2・3年生全員で行った。2年生は1年次に実施した企業研修を発表。鳥取市が推薦した、社会課題に取り組む地元企業42社を対象にしたもので、その課題は雇用創出や環境保全、電力自給率向上、煽り運転根絶など多岐にわたる。「こんな面白い取組をしている会社があるんだと、我々も生徒も初めて気づかされました」と、探究活動を主導する中村秀司先生は話す。研修先となった企業の社員31人も、生徒たちの報告を聞きに当日同校を訪れた。引き続きこの企業研修を継続するとともに、大学教授による講演会も実施していくという。「企業研修から経済活動を学び、講演会を学術的な課題に触れる機会にしたいと考えています」(中村先生)。
 2年生の課題研究では、グループで関心のあるテーマについてリサーチクエスチョンを立て、仮説→データ収集→仮説のサイクルを回し、探究活動を実施している。

 これらの課題研究とは別に、今年度からは2年生の希望者が履修できる「課題研究AP(アドバンス・プログラム)」を本格的にスタート。APの前身として昨年度は海外オンライン研修や、県内の水源地や鉱山をめぐるESD研修を実施した。
 APの狙いを、中村先生は「生徒の主体性をサポートするとともに、その先進的な取組が学校全体に波及効果をもたらすと考えています」と話す。APのテーマとして中村先生が注力しているのが、鳥取県とラオスの水問題だ。2019年にラオスに海外研修に行った際に、水道施設の改善事業とそれに携わる人々のすばらしさに触れたことが原点となっている。県内にも人形峠のウラン坑水浄化や三朝町排水のラドン等検出調査、岩美町の荒金鉱山の坑排水浄化施設など、水との関わりが深い場所が数多くある。今回そうした場所で研修したことで、地域との関わりを築くことができた。国内で経験を積んだ上で、ラオスでの実地研修に臨む予定だ。

 2015年にSGHの指定を受けて、「探究に取り組めば取り組むほど、その重要性を学校全体で感じてきている」と中村先生は話す。「探究活動は、何のために勉強するのか、大学やその先に何をすべきかを考える機会になっています。その思考が、一般教科の学習の伸展にも影響してくる。先生方も進路指導部もそのような考え方に変わってきています」。

 

2021年度に実施したハワイとのオンライン研修の発表では、アクアポニックス(水産養殖と水耕栽培を組み合わせたシステム)を学び、生徒たちが実際にそのシステムを学校で作り、魚と野菜の世話をしている。その様子を発表会で報告した。

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