Program多様な人々が共に認め合う社会創りへの挑戦!
~「ノーマライゼーション」の視点からの「ダイバーシティ」~
多様な学習ニーズに応じて主体的に学ぶことができる多部制単位制高等学校として平成24年に設置された本校は、同一敷地内に高等特別支援学校を併設し、実践的に共に学ぶ機会を設け、社会におけるノーマライゼーションの理念を進展するための礎となる学校をめざしている。 こうした様々な背景をもつ生徒が多様性の理解を通して「自己有用感」等を育み社会人基礎力を養うために、以下のプログラムを実施する。
(1)「ノーマライゼーション」の理念を進展
学校設定科目「ノーマライゼーション」において、障害理解を軸に多様性について学ぶ機会を設け、その知見をもとに学習内容の発表会を開催する。
(2)探究活動を通した多様な価値観の認め合い
1年次のE1グランプリ(遠足企画)など、協働でプランニングを行うミニ探究を行い、多様な視点を理解し価値観を認め合う。また、外部講師による講演会や大学と連携した国内留学を通して探究に関する姿勢や多様性についての知見を広める。
(3)「自己有用感」「自尊感情」を育む「ダイバーシティ」探究
3年次の「総合的な探究の時間」では、個別に「ダイバーシティ」に関連する探究テーマを設定し、フィールドワークを通して地域と連携するなど様々なアプローチから探究活動を行い、成果発表会を開催する。

活動レポートReport
ノーマライゼーションを基に体験格差の解消に取り組む
阪神昆陽高校の探究活動は、1年次前半ではこれまでの自分を作文にまとめて発表、後半ではグループで遠足の内容を企画するコンテストを実施。2年次ではグループで「学校改善プロジェクト」に取り組み、3年次ではこれまでの経験をもとに個人で課題研究を行う。一見、他校でも取り組まれているような内容だが、「ノーマライゼーションが学校生活の基盤になっている点が本校の特徴」と保坂学先生は話す。
3部の多部制単位制高校である同校は特別支援学校と同じ敷地内にあり、「ノーマライゼーション:障害のある者もない者も社会の一員として社会活動に参加し、自立して生活できる社会を目指す理念」を学校の礎としている。新入生向けの「ノーマライゼーション」授業が設置されている他、日常から双方の授業に生徒が参加し合ったり、体育祭や文化祭を合同実施するなど、共に学び、生活する環境が整備されている。「本校には不登校の背景を持つ生徒も多く、人間関係を築くのが難しい傾向が見られます。障害や特性のあるなしに関係なく、相手を理解し、多様な価値観を受け入れる姿勢を育むことが不可欠なのです」と井並バーグマン靖博先生は話す。
同校がもう一つ力を入れているのが「体験格差の解消」だ。「不登校だけでなく、経済的事情等から、“当たり前のこと”を経験できなかった生徒たちも多い」と井並先生はその背景を話す。そこで2025年度は希望者21人で関西空港のバックヤードツアーを実施。「未知の世界で働く人たちを食い入るように見ていました。アンケートで全員最高評価をつけており、大変好評でした」と保坂先生は振り返る。また、名古屋外国語大学での国内留学プログラムでは、他校の生徒と交流し、異なる価値観や背景に触れたことで、自分の強みや足りない点を見つめ直す機会にもなった。「参加した生徒は、次の交流活動にも手を挙げるなど、外の世界に触れる楽しさを実感したようです」と井並先生は話す。3月には御影高校が開催する合同発表会に初参加する他、2026年度も外部交流を図るプログラムを企画中だ。「しかしあまりに大きな変化があると、“劇薬”になってしまう可能性も。外に踏み出した生徒たちが少しずつ、他の生徒たちに、外にはこんなに楽しいことがあると広めてくれるようにしていきたい」(井並先生)。生徒の思いや不安を慎重に見極め、寄り添いながら、外の世界への一歩を踏み出せる環境づくりが進められている
関西空港のバックヤードツアーに参加した生徒たち。小・中学校の社会科見学などの行事に参加できなかった生徒たちも多く、ガイドの話を真剣に聞く様子が見られた
名古屋外国語大学の国内留学では、他校の生徒たちと、留学生とオールイングリッシュでディスカッションをしたり、講義を聞いたりと充実したプログラムを体験した