カテゴリー 12021年採択

山口県立防府高等学校 佐波分校

対象者数 200名 | 助成額 100万円

http://www.hofu-sh.ysn21.jp/

Program徳地コンソーシアム

 地域と共に未来を創る学校として、次の各プロジェクトの実施を予定している。 

・心のエンジンⅠ:和紙でつなぐ心〜徳地多世代交流プロジェクト(R3単年度事業)
 鎌倉時代から伝わる800年の歴史を持つ「とくぢ手すき和紙」と和紙装飾品の研究

・心のエンジンⅡ:徳地インスタ映え春夏秋冬プロジェクト(R3-R4  2カ年計画事業)
 地域観光の起爆剤に地域の名所写真コンテストを小中高の学校HPで全国に募集

・心のエンジンⅢ:徳地地域桜の名所再生プロジェクト(R3-R5  3カ年計画事業)
 てんぐ巣病に悩む地域の桜を小中高が連携して再びよみがえらせる研究と実践

 

 山口県内には、海外から訪れた観光客が投稿した1枚の写真がSNS上で大ブレイクし、急速に観光名所となった例(角島大橋、元乃隅神社)が実在する。県央に位置し、高速道路のインターチェンジもある本地域を「トレジャー・マウンテン」(宝の山)と位置付け、小中高が地域、行政、企業、大学等と連携して地域の宝を発掘していきたい。

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地域で吹く風を受けて 大きく飛躍した中山間地域の分校

 国立青少年教育振興機構(国少)の「地域探究アワード」の全国ステージが2月に開催され、全国各地から「地域探究プログラム」に参加した高校生が成果を競いあった。その結果、防府高等学校佐波分校が個人部門で金賞・特別賞(全国2位)を受賞。同校の中川聡教頭は「先生と生徒たちの努力が報われた成果」と話す。

 全校生徒47人・教員12人の佐波分校と、分校がある徳地(とくぢ)に変化が起きたのは2年前。山口県教育委員会の「地域活性化インターンシップ事業」を活用し、高校生が徳地唯一の公共交通機関であるバスの待合室を、伝統産業の徳地和紙で装飾し、地元の方々と製作したベンチと草木染座布団を寄贈、多くのメディアにも取り上げられた。この地域と連携した取組は、徳地地域づくり協議会によるたった一回の出前講義から始まった。同年に赴任した中川教頭が、協議会の池田大乗さんと小松美香さんと話す中で、徳地の魅力と地元の方々の姿に感銘を受け、地域課題を生徒と話し合う出前講義を要請。「小松さんが生徒のアイデアを引き出し、池田さんの広い人脈でこれだけのプロジェクトが実現しました。我々にはこうした探究活動のノウハウがない。このつながりこそが、本格的な探究活動にシフトするチャンスでした」(中川教頭)。

 翌21年度の「総合的な探究の時間」は、「探究活動の知見がある国少職員の手法を学べる」ことから、国少の「地域探究プログラム」を活用し、六つのプロジェクトを教員と池田さんが協力して担当。池田さんは、「10年近く地域活性化に取り組んでいますが、自分で考え行動する高校生に驚かされることもしばしば。地域の皆さんも熱心に受け入れてくれ、これからの徳地に夢が持てます」と話す。生き生きと活動する生徒たちの姿を見て、プロジェクト推進のために大学の先生を呼びたいという声が上がるなど、教員の意識も変わってきた。
 学校の図書室を開放して地域の方々と生徒が集うコミュニティカフェを開催、全国高等学校小規模校サミットへの参加など、新しい取組が次々と生まれている。「徳地コンソーシアムが機能する素地は以前からあり、協議会との出会い、国少のプログラムといった風をいっぱいに受けて私たちは船出することができた」と中川教頭が話すように、自ら主体的に地域にある“財産”を見つけ、つながりを持とうとする強い思いがあれば、生徒と地域が大きく変われることを、佐波分校の事例が教えてくれる。

国少の「地域探究アワード」には、徳地和紙作品製作、とくぢ健康茶スイーツ開発、徳地ゆるスポーツ開発、徳地ストリート・ピアノ設置、徳地インスタ映えの四季、徳地桜の名所再生と、応募した六つすべてのプロジェクトが予選を通過。池田さんが担当していたプロジェクトは全国ステージには届かなかったが、「これからも活動したいと生徒から連絡がありました。全力で競い合ったという経験は生徒たちに良い影響を与えたのでは」と話す。

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