カテゴリー 12021年採択

徳島県立城ノ内中等教育学校

対象者数 465名 | 助成額 200万円

https://johnouchi-ss.tokushima-ec.ed.jp/

Programエシカルの窓から世界へ
〜­新しい価値を創造する〜

 本校では2018年度から3年間、徳島県のエシカル教育推進の研究指定を受け、「エシカル消費=倫理的消費」の研究を入り口に持続可能な生産・消費活動とそれを実現するための地域社会の維持などについて「探究」活動を進めてきた。  

 特に普通科である本校では、エシカル消費における役割を「社会における価値観の転換を図ること」と捉え、既存の価値観に問いを持ち、「探求・実践」の中から新たな価値を創造することを目標に「探究」活動を進めている。

 目標実現のため、総合的な探究の時間には「エシカル消費研究」を通じた地域産業研究から始め、各自の志望分野に応じたSDGsの目標につながる多分野の探究活動を行っている。サイクリングコースや観光アプリ開発、地域動画作成、ユネスコ世界寺子屋運動、食品ロス研究など生徒の探究活動から生まれた多くのプロジェクトが「探求→実践→発表」を一つのサイクルとする「探究」の過程を通して地域社会と結び付き始めている。さらに中等教育学校の6年間を生かして、より継続・発展性のあるものとし、持続可能な社会の形成につながることを大きな目標としている。

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エシカルからSDGsへ 探究活動の輪広がる

 城ノ内高校は、2018年度から県の研究指定を受け「エシカル消費」の研究を入り口とした地域社会における持続可能な生産・消費活動に関する探究活動を行ってきた。エシカル消費とは、社会的課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことを指す。
 「ただし、本校は普通科の学校ですので、商品開発や普及の研究などは専門外。エシカル消費という価値の発信や、価値観の転換を通じた地域産業の研究を役割と考えました」と話す春田麻里先生。エシカル消費をやや広義に捉え、それぞれが興味のある分野で「徳島の役に立つ活動は?」という問いを出発点に、論文制作や実験、プロジェクト、モノ作りなどを実行するのが、同校における探究活動の特徴で、それぞれに共通するのは、コンクールなどへの応募や研究報告の完成を目標として探求(※)を進め、「探求→実践→発表」のサイクルに重きを置いていること。と言うのも、23年度に6年一貫の中等教育学校に完全移行する同校では、このサイクルを繰り返したり、先輩の活動を後輩が引き継ぎ、新たなサイクルを開始することもできる。

 高校では珍しい活動としては、アプリの開発がある。きっかけは徳島の秘境と言われる三好市祖谷の観光活動への参加。フィールドワークの後に行った現地の方々へのプレゼンテーションが好評で、観光・体験コースづくりへと進む途中でコロナ禍に見舞われた。しかし、活動できないその間にアプリ開発を進めることができたと言う。開発費など捻出できようもなく、地元で起業するIT関連の方々に「アプリ講座」を開いてもらい、一緒に手作りした。その後、観光ガイドだけでなく、地元のエシカル商品を紹介する活動でも、数値化ではなく、葉っぱのマークの色分けによって商品の地域性、環境性、社会性を表すアプリを開発し、生産者と消費者をつないでいる。

 21年度からは、「エシカル消費」の研究推進校として培ってきた取組を、多様なSDGsの目標に向かう探究プログラムとして発展させるとともに、6年間を見通した計画の下、プログラムの実施を中学3年からとして探求・実践の期間を確保。大学進学自体を目標とするのではなく、何のために進学するのかを考える土壌をつくっている。実際、在校生と協働しているOB・OGも多く、当校をハブとした探究活動の輪が広がりつつある。
※同校では「探求」という言葉を使用

開発した観光ガイドアプリを、JR大歩危駅で列車の乗客にPR。

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