カテゴリー 12021年採択

佐賀県立佐賀農業高等学校

対象者数 236名 | 助成額 200万円

https://www.education.saga.jp/hp/saganougyoukoukou/

Program農業高校の専門性を活かしたグローカル・リーダーの育成
~持続可能な地域農業の実現に向けて~

 地域と外国の農業事情を知るとともに、これらを比較しながら課題を発見し、他者と協働して課題解決を目指す取り組みを通して、グローカル・リーダーとして必要とされる汎用的な資質・能力を育成するプログラムを実践する。 

 1年次は「総合的な探究の時間」において、SDGsをテーマとした個人での探究活動を行い、2年次以降は「課題研究」において、専門分野(農業・食品・環境など)をテーマとしたグループでの探究活動に取り組む。いずれの取り組みも、フィールドワークを軸にした探究活動であり、農業の“現場”と研究内容をリンクさせた特徴的な教育プログラムとなっている。 

 本校はかねてより、農業分野の専門性を生かして地域や社会に貢献できる有為な人材の育成に取り組んでいる。農業分野にはさまざまな課題が山積しており、「持続可能な地域農業の実現」を目指した取り組みは、これからも本校の担うべき役割であると考えている。

 これまでの活動を有機的につなげ、より深化させた取り組みとして発展的に継続していくことで、地域に根差したグローカル・リーダーの育成を推進していく。

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SGHでの知見を 専門性に合わせて深化

 今年で創立127年と長い歴史を持つ佐賀農業高等学校では、農業分野のグローカルリーダーの育成を目指した探究活動に取り組んでいる。1年次は「身近なSDGs」をテーマに、フィールドワーク(FW)を必須とした探究活動を個人で行っている。「1年生でも課題が見つけやすいよう、農業分野に限らず、SDGsと幅広いテーマを設定。また個々人が自分の考えをしっかり持って、発信できる力を身に付けるために、1年次は個人活動にしました」と、探究活動を主導する杉谷輝先生は話す。1クラスに担当教員を4~5人付け、似たようなテーマごとに生徒をまとめながら、教員1人当たり8~10人の生徒を担当している。

 1年次に身に付けた基礎力をベースに、2年次は農業の専門学科に沿ったテーマでグループ探究活動を実施。3年次では継続してそのテーマの研究を進めている。
 同校が本格的に探究活動に取り組み始めたきっかけは、2016年にスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定校となったことだった。その後5年間に、生徒や教員の意識が大きく変わってきた。「それまでは『地元の農業』という限られた分野への関心が強かったのですが、グローバルな視点を取り入れたことで、俯瞰(ふかん)的な視野で物事を考える姿勢に変わってきました。外に一度目を向けたことで、改めて地元の良さ・ありがたさを感じた生徒もいたと思います」と、外戸口良文校長は話す。学びに意欲的な生徒が増え、その影響が入学志望者数や進学率の伸長にも表れているという。

 5年間のノウハウを基に、「グローカル」をより意識した探究活動を2021年度から進めてきたが、いくつか課題もある。一つが〝多様な現場〟の開拓だ。「農業高校としての教育にFWは欠かせない」との考えから、長年地元と培ってきたネットワークを活かし、農業基盤整備から生産・加工・流通・消費と、農業に関するあらゆる現場を生徒に提供している。「しかし農業以外の現場はまだ弱い。外部と連携して開拓していく必要があります」と杉谷先生は話す。  もう一つが探究活動を推進する校内体制の確立と先生側の対応の強化だ。「人事異動があっても芯はブレないように、学校として目指すべきところを明示していきたい。本校ならではの探究は、農業の専門教育があってこそ」と、外戸口校長は話す。こうした課題を踏まえ、学校を変えたSGHの知見をさらに深化させていく2年目の取組が始まっている。

1年生全員が取り組む田植え実習。杉谷先生は「フィールドワークや実習などの実体験を通して現状に対する理解を深めることは、暮らしに影響する課題を発見することにつながる」と話す。

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