カテゴリー 12021年採択

熊本県立熊本高等学校

対象者数 1200名 | 助成額 200万円

https://sh.higo.ed.jp/kumamoto/

Programワクワクロスリアリティフォーラム(WXRフォーラム)

 地方に所在する高校であることに加え,現在のコロナ禍とも相まって生徒たちの活動が地理的・物理的・心理的制約を抱える中、さまざまな垣根を越えて、学校外の多様な価値観と出合い、自分自身や他者を見つめられる交流の場として、現実と仮想現実空間をつなぐクロスリアリティ(XR)型のフォーラムやシンポジウムを行う。「多様性」「国際性」を重視しながら、「探究活動」「創作活動」を行い、「科学技術」「イノベーション」「デザイン思考」教育を通して、未来へ向けたセレンディピティを生み出す。 

 コロナ禍で世界が変わる中、クロスリアリティ(Virtual Reality・Augmented Reality・Augmented Virtuality・Mixed Reality・Substitutional Reality)、特にVRを中心としてワクワクする教育を展開し、その可能性等を検証する。具体的には、①台湾の国立中科実験高級中学の学生たちや、九州各県の公立高校とフォーラムを行う。②武蔵野美術大学と連携し、生徒がデザイン・制作したものと、武蔵野美術大学のアートオブジェ等を仮想空間に展示し、参加者が観覧、交流する芸術祭を開催する。③UJA(海外日本人研究者ネットワーク)と連携し、世界中の研究者との交流を目的として、ハッカソンイベント※、シンポジウム等に参加する。

※プログラマーやデザイナーなどWebデザインやシステム開発に携わる複数人がチームをつくり、短期間でプログラミングのアイデアや制作物の優劣を競い合うイベント

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活動レポートReport

デジタル技術の活用で 生徒のチャンスを創出

 九州でも指折りの進学校として知られる熊本高等学校が、デジタル技術に着目したのは2年前のこと。留学プログラムにおいて連携している海外日本人研究者ネットワーク(UJA)とのやり取りで出てきた「VR空間で高校生と専門家をつなげたら面白いのでは」という話がきっかけだった。「そのプログラムには、世界中の名門大学教授や大企業の研究者が参加してくれて、クロスリアリティ(XR)の可能性を実感しました」と早野仁朗先生は話す。以降、連携協定を結んでいる武蔵野美術大学の力を借りながら、VR空間でのシンポジウム等の開催に向けて、VR空間やVR動画の作成に取り組んだり、またUJAと慶應義塾大学が主催するVR空間におけるハッカソンイベントに生徒を派遣してきた。

 並行してIT技術教育が進んでいる台湾との連携強化も図っている。2年前に台湾の高校と姉妹校提携を結び、修学旅行先も台湾へと変更。コロナ禍で台湾行きは断念せざるを得なかったが、代わりに実現させたのが、台湾のIT大臣オードリー・タン氏を迎えてのオンラインシンポジウムだった。九州六つの公立高校との生徒交流会の一環として開催し、全国260校がその配信を視聴した。事前には何度も生徒同士でオンライン会議を行い、タン氏への質問項目を練り上げていった。高校生の質問に丁寧に答えるタン氏の姿は、国境を超えた若い世代の可能性への期待と熱意にあふれ、生徒たちは興奮が抑えきれない状態だったという。

 校内の環境も充実しており、専任部署として教育研究課を立ち上げ、早野先生をはじめ10人の教師が担当。オンライン会議システムや動画配信・編集の機器が揃った専用の部屋も用意し、三菱みらい育成財団の助成金を活用して、VRの関連機器、3Dプリンター等を導入。今年度は自らVR空間をつくることを目標としている。

 この2年間でこれまでにない変化を見せる生徒が多くなっているという。ハッカソンイベントで年代の近い起業家との出会いに衝撃を受けた生徒、台湾の大学への進学を決めた生徒、クラウドファンディングで地元の特産品を全国に発売し売り上げを水害支援に充てた生徒等々。デジタル技術によって地理的・経済的な障壁を取り除いて、人と人とがつながるきっかけをつくり、生徒たちが自身の手でチャンスを切り開く場を与えたい。同校の取組は、偶発的な出会い“セレンディピティ”を生み出し、生徒たちの将来を大きく変えている。

XRの取組を推進する専用のルーム「W-RoomⅠ」。タン氏とのシンポジウム配信もここで行った。

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